タミフル騒動を振り返る

桜の季節になってようやく今シーズンのインフルエンザの流行も勢いが落ちてきました。
暖冬のため、今シーズンはあまり流行しないのではないかという予測をあっさりと裏切って、近年では最大規模の流行になりました。

そんな中、今シーズンはタミフルの使用をめぐって医療現場は大混乱となったのは、よくご存知のとおりですが、その混乱の原因は、

原因がタミフルかどうかはっきりしない。
マスコミのタミフルに対する不安感をあおる報道

この2点に集約されると思います。

そもそも、タミフルの異常行動が注目されるようになったのは、昨シーズンに出された学会発表がきっかけになっています。

ただ、この発表、常々疑問に思っていたのですが、タミフルの発売前と後とで、インフルエンザ罹患患者の異常行動の増加を全く見てないんですよね。

タミフル発売開始後に、こういった異常行動の例が有意に増えているのであれば、タミフルには

異常行動の副作用がある
インフルエンザによる異常行動を助長する

という可能性があるといえます。

しかし増加がない場合は、タミフルとの因果関係は完全に否定できる訳ではありませんが、論文のようにタミフルが原因と言い切るには少々無理があります。検証としては片手落ちの感は否めません。

タミフル発売後は、インフルエンザと診断がつけばタミフルが処方されますし、服用は早いほうが効果が高いと指導を受けるわけですから、こういった症例では、ほぼ間違いなくタミフルを服用しています。つまり異常行動の原因が例えインフルエンザそのものであったとしても、タミフル服用後に異常行動という図式が出来上がってしまうことになります。

これでは因果関係を見出すのは、少々困難です。タミフル未服用患者の異常行動が次々と報道されていますが、どういった反論をされるんでしょうね。「疑わしきは黒なんだから、とりあえずタミフルはやめとけばいいんだ」で押し通すんでしょうか?

さて、もう一点のタミフルに関する報道のあり方です。
今回の混乱に関しては、厚生労働省の対応のまずさも確かに要因のひとつではありますが、それ以上に混乱を招く結果となったのが、マスコミの報道だったと思います。

視聴者の不安を煽るような内容にあまりにも偏りすぎです。取って付けたように因果関係は分かりませんと、コメントはされていますが、構成そのものがワイドショーばりに過剰に演出されていて、視聴者には、その部分の印象しか残っていないはずです。

結局のところ、タミフルと異常行動というのは視聴者の関心を引きやすい、TV局にとっておいしいネタだったということです。とりあえず、タミフルを叩いとけば、社会的正義ってことで世間の賛同は得られますしね。

事実、タミフルを服用していないインフルエンザ患者での異常行動の報道は、どの局もさらっと流すだけなのを見ても明らかでしょう。TV局の関心はすでにタミフルから離れてしまっています。

あるあるの捏造問題が大きく取り上げられ、関西テレビには厳しい措置が下されましたが、結局TV局の体質は根っこの部分は同じなんだと改めて気づかされます。ニュースに関しては、知識人ぶったキャスターの一見気のきいたようなコメントや過剰な演出といったエンターテイメント性は必要ないと思うんですが、どうでしょうか?

ともあれ、1日も早く今シーズンの流行が終息することを願うとともに、はじめにタミフルありきではない、全うな調査が行われ、事実が明らかになることを願います。来シーズン以降は安心してインフルエンザ治療が受けられる環境になればいいですね。


市販薬事典 | コメント(0) | トラックバック(0)2007/04/02(月)14:08

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