後発品処方を優先へ

先日4月22日の読売新聞朝刊に気になる記事が出ていたので抜粋します。


厚生労働省は、新薬と有効成分が同じだだが価格が安いジェネリック医薬品(後発医薬品)の普及を促進するため、医師が患者に薬を処方する際、これまでは新薬の使用が「標準」だったのを、後発医薬品を「標準」に転換する方針を固めた。処方箋の様式を改め、あえて新薬を選ぶ場合は、医師が処方箋に理由を明記することを求める方向で検討する。増え続ける医療費を抑制するのが狙いで、2008年度からの実施を目指している。

後発品への変更が思ったほど進まないことを受けてのことですが、なんともおかしなことになってきました。医師会、大手製薬メーカーの反発は必至ですね。

欧米に比べて、一向に後発品の処方が伸びない理由を厚生省は薬剤師が積極的に進めないからとか、医師が処方したがらないとかいろいろと言ってますが、普及しないのはもっと大きな理由があります。

それは諸外国との保険制度の違い。こういった議論の時には必ず欧米ではという話になるのですが、そもそも保険制度が根本的に異なるこれらの国の状況と日本での状況を比較することにあまり意味はありません。

例えば、薬代が5000円かかったとして、後発品はその半分の2500円で済むとしましょう。
全額負担の場合は、2500円の差額が生じますから、たいていの人は後発品を選ぶでしょう。
これが多くの諸外国の場合。

でも、日本では負担なし1割負担の人がたくさんいるんですよね。
負担なしの場合は、お金の発生が無いんですから、当然薬を変える必要性を患者さんは感じませんから、そのまま先発で処方されるケースがほとんどでしょう。

1割負担の場合も、実際に支払うのは先発品で500円。後発品で250円になりますから、後発品に変えた場合の差額は250円。たったこの程度では、「そのままでええわ」といわれるケースがほとんどです。

仮に3割負担でも、微妙でしょうね。後発品に変えて、金額的にお得感を実感できるのは、ある程度先発品の薬価の高く、なおかつ長期的に服用する場合になります。ただし、残念ながら、こういった薬剤はあまり多くないんですよね。

こういった現状では、欧米並みになるのは今のところかなり難しいでしょうね。

ただ、後発品優先については、あくまで個人的意見で、批判も受けそうですが、部分的には検討できる余地はあると思っています。

それは、負担なしの患者さんに対して薬を処方する場合
実際に薬を出す立場から見てみると、こんなに薬がいるのかというくらい薬を持って帰られる方が結構いるんですよね。この場合負担は全て保険側になるんですから、ここをまずターゲットにすべきだと思いますけどね。医療費がタダなんだから、薬代を抑えるのに後発品を中心にした処方にしてもいいと思うんですがいかがなものでしょうか?

今回のこの案については、医師の処方権とも微妙に絡んできそうですし、今後どうなっていくのか、しっかりと見届けたいところです。


医療の話題 | コメント(2) | トラックバック(0)2007/04/24(火)13:51

タミフル騒動を振り返る

桜の季節になってようやく今シーズンのインフルエンザの流行も勢いが落ちてきました。
暖冬のため、今シーズンはあまり流行しないのではないかという予測をあっさりと裏切って、近年では最大規模の流行になりました。

そんな中、今シーズンはタミフルの使用をめぐって医療現場は大混乱となったのは、よくご存知のとおりですが、その混乱の原因は、

原因がタミフルかどうかはっきりしない。
マスコミのタミフルに対する不安感をあおる報道

この2点に集約されると思います。

そもそも、タミフルの異常行動が注目されるようになったのは、昨シーズンに出された学会発表がきっかけになっています。

ただ、この発表、常々疑問に思っていたのですが、タミフルの発売前と後とで、インフルエンザ罹患患者の異常行動の増加を全く見てないんですよね。

タミフル発売開始後に、こういった異常行動の例が有意に増えているのであれば、タミフルには

異常行動の副作用がある
インフルエンザによる異常行動を助長する

という可能性があるといえます。

しかし増加がない場合は、タミフルとの因果関係は完全に否定できる訳ではありませんが、論文のようにタミフルが原因と言い切るには少々無理があります。検証としては片手落ちの感は否めません。

タミフル発売後は、インフルエンザと診断がつけばタミフルが処方されますし、服用は早いほうが効果が高いと指導を受けるわけですから、こういった症例では、ほぼ間違いなくタミフルを服用しています。つまり異常行動の原因が例えインフルエンザそのものであったとしても、タミフル服用後に異常行動という図式が出来上がってしまうことになります。

これでは因果関係を見出すのは、少々困難です。タミフル未服用患者の異常行動が次々と報道されていますが、どういった反論をされるんでしょうね。「疑わしきは黒なんだから、とりあえずタミフルはやめとけばいいんだ」で押し通すんでしょうか?

さて、もう一点のタミフルに関する報道のあり方です。
今回の混乱に関しては、厚生労働省の対応のまずさも確かに要因のひとつではありますが、それ以上に混乱を招く結果となったのが、マスコミの報道だったと思います。

視聴者の不安を煽るような内容にあまりにも偏りすぎです。取って付けたように因果関係は分かりませんと、コメントはされていますが、構成そのものがワイドショーばりに過剰に演出されていて、視聴者には、その部分の印象しか残っていないはずです。

結局のところ、タミフルと異常行動というのは視聴者の関心を引きやすい、TV局にとっておいしいネタだったということです。とりあえず、タミフルを叩いとけば、社会的正義ってことで世間の賛同は得られますしね。

事実、タミフルを服用していないインフルエンザ患者での異常行動の報道は、どの局もさらっと流すだけなのを見ても明らかでしょう。TV局の関心はすでにタミフルから離れてしまっています。

あるあるの捏造問題が大きく取り上げられ、関西テレビには厳しい措置が下されましたが、結局TV局の体質は根っこの部分は同じなんだと改めて気づかされます。ニュースに関しては、知識人ぶったキャスターの一見気のきいたようなコメントや過剰な演出といったエンターテイメント性は必要ないと思うんですが、どうでしょうか?

ともあれ、1日も早く今シーズンの流行が終息することを願うとともに、はじめにタミフルありきではない、全うな調査が行われ、事実が明らかになることを願います。来シーズン以降は安心してインフルエンザ治療が受けられる環境になればいいですね。


市販薬事典 | コメント(0) | トラックバック(0)2007/04/02(月)14:08

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